「将来は何になりたいの?」
と僕が尋ねると、
「さっきょくかー」
と君は答える。
完全に僕の影響を受けているようだが、
ちょっと前までは、
湘南新宿ラインの運転手だったから、
あてにはならない。
それでも僕は、
「そうなんだ。僕もなりたいんだよ」
と言うと、
「それじゃ一緒になろうよ」
と嬉しそうに言ってくれる。
君が言うと、
本当になれるかもしれないと思えてくる。
君の未来は無限大。
でも、
僕の未来は限られている。
「音大に行くんだ」
とまで言っている。
だれが音大のこと教えたのだろう。
一体いくらお金がかかるのだろうか。
考えただけで恐ろしい。
君が大人になる頃、
世の中はどう変わっているのだろう。
AIの登場によって、
僕らがしてきた受験勉強、
暗記型、詰め込み型の勉強は意味をなさなくなる。
AIが最も得意とするところだから。
これからは、
より人らしさが求められる。
0から1を生み出す能力がより求められる。
その点、芸術は素晴らしいと思うよ。
君が望むのなら、何だってなれるから。
僕も最大限応援するよ。
だから、
僕も、
パパも、
もう少しだけ夢を追いかけてもいいかな。