忘れられない先生がいる。
それは僕が通った塾のN先生。
先生は途中から入塾した僕のために、
マンツーマンで補講をしてくれた。
先生は算数の講師だった。
先生の教えた方がすごくうまいので、
僕はみるみる問題が解けるようになった。
解けるようになると、
算数が面白くなった。
先生もそんな僕をすごく褒めてくれた。
僕は算数が好きになった。
好きになると、
難しい問題に挑戦しようと思うし、
算数の成績はみるみる上がって、
それは得意になっていった。
N先生はとても明るい人だった。
僕が何らかの事情で長期に休んだ後、
先生のクラスに戻った時は、
僕を抱きかかえて、喜んでくれた。
僕は先生から人に大事にされる喜びを知った。
僕も価値がある存在なのだと思えた。
僕は先生のことが大好きだったし、
先生も僕のことをとても気にかけてくれた。
そんな先生とも突然の別れがきた。
とても評判のよい先生だったからか、
他の塾に引き抜かれてしまった。
それからの僕の成績は、
伸び悩むようになっていった。
結局、
第一志望の学校に行くことはできなかった。
小中高と色々な先生と出会ったけど、
N先生のことらが忘れられない。
中学、高校と、
勉強はそれ程好きにはなれなかった。
でも、
数学だけはずっと得意だった。
数学だけは好きだった。
N先生が算数を教えてくれたから。
N先生のおかげだった。